フリーランスでWebサイト制作する時用メモ

2018年2月現在、Wordpressを使ったWebサイト制作(ホームページ制作)を受託する会社に2年ほど勤めてます。

そんな中、思うところがあり4月より自社開発系の会社へ移ることとなったのですが、今後の人生、フリーランスのWebサイト制作屋に戻る可能性もあります。

その時に今の気持ちを忘れないようにメモに残せれば。と思い記事にしました。

私自身のスキルセットが変わってて、かつ営業1人制作1人という特殊な環境で仕事をしていたので、他の方の参考にもなれば幸いです。

記事を見ると大変そうに見えますが、全体的には「ぬるい」環境であることをお伝えしておきます。

転職理由

簡潔にまとめると「私の進みたい方向性が会社と合わなかった」が転職理由です。

  • 顧客といえどもITに弱い人を相手に仕事をするのがしんどかったから。
  • 会社の方向性が「少数精鋭の制作部を作る」から「制作を仲介する」になったから。
    • 仲介業になるとエンジニアとしてのポジションが不要に感じから。
  • フロントエンドエンジニアとして入ったが、実質デザイナーも兼任していて、エンジニアリングに専念したかったから。
    • デザイン業務を責任持ってやることに辛さを感じたため。
  • 社長がIT技術よりはIT会社経営を志向しており、フォロワー路線傾向だったため。
    • 個人的には新しい技術を取り込んだ仕事をしたい。
  • 給料は上がったが、期待ほどは上がらなかったから。

※「ITに弱い人」は「解像度ってなに?」「ネットに繋がらない(ケーブルが抜けてる)」くらいを指してます。

現在の会社の概要

  • 人員は社長(営業)、私(制作)の計2人。
  • 営業は以下を行う。
    1. 紹介を軸に受託。
    2. 契約の流れでヒアリングを行う。
    3. たまにワイヤーフレームを起す。
  • 制作は以下を行う。
    1. ワイヤーフレーム(飛ばす場合あり)
    2. デザイン
    3. コーディング
    4. 設置
    5. 設置後のSEO対策
    6. 制作後の保守や変更依頼の改修
  • 他にも顧客の要望があれば以下の制作も行う
    • 名刺制作
    • チラシ制作
    • 顧客の不明点を代行調査
    • 電話対応(営業が7割方不在なため)

入社当初の問題点

入社した当時は制作を全て外注していました。

  • 10万円程度の単価でもオリジナル制作で受注していた。
    • 10万程度の制作物では制作事例として使えない。さらに顧客がゴネると赤字。という悪循環になる。
  • 単価設定が適当だった。
    • 顧客が提示できる金額で請け、内容はWordpressテーマのカスタマイズ。という内容で、金額を説明する根拠が無かった。
  • 顧客ターゲットが「Webサイトって必要なん?」というITに弱い層のみ。
    • 必要を感じて依頼をする層ではなく、興味がない層に売るため、低価格かつ顧客優先になりがち。
    • 顧客相手の都合に併せて納期を動かしたり、仕様変更を受け入れる。10万前後の案件で3ヶ月かかることがあった。
  • 大きいシェアが存在するサービスを低予算で制作し、頓挫することが多かった。
  • 割り込みタスクが多すぎる問題。
    • 「変更修正依頼は当日か翌日」を謳っていたため、制作中でも割り込みが多発していた。
    • 回転率が悪いゆえに、常に5件近くの制作案件が並走し、さらに制作効率が悪くなる悪循環があった。
  • 職務範囲が広すぎて試行錯誤の余地が少ない。
    • 「ディレクション」「デザイン」「フロントエンド」「SEOアナリティクス」「保守運用」「自社プロジェクトの制作」「電話対応」をしていた。面白い面も沢山あるが、専門的な知識を得るには厳しかった。
  • 技術を話せる同僚がいない。
    • 技術をやりたいので、技術の話ができる同僚がいないのは辛い。
    • 社長は技術に明るくない。事務はできるので問題はなし。
  • 営業1人:制作1人では売上が足りない。
    • 「制作1人で80〜100万円」なら問題なく感じるが、営業と制作が1:1なので…?

在籍中に改善できたこと

  • Webサイト制作費用の計算機を作成し、概算を出せるようにした。
    • 目安として、デザインカンプを起こしてブランクテーマからの制作は最低でも35万円を越える価格設定とし、営業に使用させた。
    • 結果、単価向上し、クオリティが高いサイトを作りやすくなった。→制作事例として掲載できるようになった。
  • 「即日か翌日対応」を「3営業日以内対応」とし、顧客へのレスポンスは低下させたが、作業集中による制作の高速化と品質向上が得られた。
  • 「Wordpressテーマのカスタマイズ会社」から「オリジナルWebサイト制作会社」といえるクオリティまで引き上げた。
  • 制作フローを「ディレクション」「デザイン」「コーディング」「リリース」と分けて、次の工程に進んだら戻れない(完成後の変更対応とする)ことを明示したこと。これにより、外注するときにも1工程を外注しやすくなった。
  • Foundation6を使ったJointsWPというブランクテーマを使用し、受託制作で毎回行うところまでをテンプレート化したおかげで、コーディング時間を短縮した。
    • テーマを少し改造するくらいなら、JointsWPでテーマを模したほうが総合的に早いくらいになった。

良かった点(フォロー)

  • 忙しくても定時で帰れた。だから2年居られた。「収入を増やしたい」「エンジニア方面に進みたい」という意思がなければ、文句はない環境。
  • 制作が1人なので、予算の範囲内で顧客が納得すれば自由に制作できた。
    • 私個人の判断で効率化したりなど。
  • 社長自身の人格は大変良く 、以下のことは行えた。
    • 残業は基本しない方針。
    • タスクが多ければ顧客に説明し後ろ倒しにできる。
    • 有休は問題なく取れる。
    • 頻繁でなければ勉強会などで外に出ても良い。
    • 「入社当時の問題点」をそのまま(遠回りせず)伝えて対話ができる。(一番感謝しているところ)

フリーランスとしてWebサイト制作をするなら考えるべきこと

  • 大企業でない限り顧客は大抵Web素人なので、「やること」「やらないこと」リストを作成し、「変更」には全て料金がかかることを明確にする。若しくは変更料金を制作料に含めて値段設定する。バッファ設定が大事。
  • コスト最優先の顧客は切り捨てる。(目安25万未満は切り捨てる)
    • Webサイトは広告塔、ネット上の顔となるので、覚悟ができない会社からは仕事を請けないほうが良い。 「Webサイトがあったほうがいいらしい」という顧客は、格安Webサイト制作サービスに任せる。
  • プロジェクトの終了日を明確にし、顧客都合で遅れるなら追加料金を設定する。
    • 顧客都合で半年以上納期が遅れて、実質作り直し案件が多々ある。自分から早い連絡を心がけて、相手に早い返信を促し、一ヶ月以内。長くても二ヶ月で終わらせる。
  • 写真の購入費やカメラマン費用は制作費用に含め、顧客が自分で撮る流れを作らない。
    • 写真素材購入費をケチって、品質が下がるサイトが非常に多い。→ 制作事例としても使えなくなるので、多少なら営業費として負担しても良いかも。
  • 電話代行など、直接自分自身が電話対応しなくて良い体制を整える。
    • Web制作会社は、PCサポート屋として誤解されがち。直接自分に電話が繋がらなければ、余計な時間は奪われにくくなる。
  • 営業行為は必要だが、制作部門(外注含む)と営業の割合を3:1くらいにしないと厳しい気がする。
    • 量産体制が整うまではフルコミッションの業務提携で間に合いそう。
  • 10年後にWeb制作が仕事として成立するかよく考えること
    • オリジナルの格安Webサイト制作は、量産型サービスに駆逐される可能性が高いので、1点もののWebサイトを作れないなら他の仕事をしたほうが良いかも。
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